カタマランは転覆する!
外洋には不向き?
カタマランは転覆すると自力では復原しないので外洋ヨットとしては不適である。
これが 一般的によく言われ、多くの人に信じられている事実です。
カタマランの肩を持つように取られてしまうかもしれませんが、私が今まで読んだ本からの情報も加え、検討してみます。
カタマランは自力で復原しないことは確かですが、バラストを持たないので不沈性を持たせることは比較的に容易です。
外洋に出て行く艇はライフラフトを積むことになっています。これは万が一、艇が沈没する場合を考えたものです。実際、外洋に行って、沈没し、ライフラフトを使用した艇もたくさん有りました。
カタマランで転覆し、転覆したまま漂流し、数ヵ月後に助けられた例も有ります。
ライフラフトには色々な生存のための装備がされていますが、転覆したカタマランは浮沈性があれば非常に優れたライフラフトとなります。
つまりモノハルのクルーザーは転覆しても起きかえることが期待できるが、沈んでしまうこともある。
カタマランは転覆すると自力で起き上がるのは不可能だが沈んでしまうことは無い(ようにすることができる)。
(お断り)モノハルでも浮沈性を持った艇もあるし、カタマランでも不沈性が無いものもあります。
以上は不沈性をもとにした究極の安全性についての議論です。
しかし、もし、カタマランがちょっとした嵐がくるたびに転覆し、浮沈性を利用して助けを呼ぶのでは外洋向きとは言えないし、迷惑な話となります。
カタマランがモノハルと比較して転覆しやすいかについては簡単に結論はでないと思います。
風による転覆についてはセール面積と復元力の関係が主な原因ですので、いかに安全な面積に縮帆して走るかが重要です。
帆走性能を売り物にしているカタマランは比較的大きなセール面積を持っているのでちゃんと海象にあわせて走る必要があります。
バラストの無いカタマランはバラストを持ったモノハルと比べて波で転覆しやすいように見えます。
波による転覆を波のエネルギーと船体の回転慣性モーメントの関係で考えると、カタマランのほうが船体が左右に分かれているため非常に大きな慣性モーメントを持っていますので転覆しにくいとも言えます。
またカタマランは通常モノハルのようなディープキールを持っていませんので波に巻かれたときキールが引っかかるようなことも無いように思います。
なお自力では転覆から起き上がれませんが、ある程度牽引力がある艇の援助が得られれば起こすことも出来るようです。
この項目はえんえんと議論が続くことだと思いますが、、
私はイギリスのサザンプトンボートショーで見た何隻かのカタマランが「自力でアメリカから到着したばかり」と張り紙してあっただけで納得することにしました。