MonaMonaの話

MonaMona の話はVoyagingUnderPower の中に登場するストーリーのひとつです。
このMonaMonaだけで一冊の本ができるほど中身がたくさんある話です
主人公は Bob Sutton というアメリカCBS放送に勤めていた人。 リタイヤを迎えるに当たり長年の夢であったLive-Abordクルージングの夢を実現するストーリーです。
VoyagingUnderPowerの第三版を元に紹介します。新しく第4版ののなかでどう紹介されているかはわかりません。
Voyaging Under Power
ISBN 0-07-158019-0
アマゾンで買えます。
新刊(第4版)が出ています。
ヨットレースの経験は豊富であるが、自作の経験はほとんど無いヨットマン、Bob Sutto はリタイヤした後、長期のクルージングをしたいと夢見ていた。
しかし、リタイヤの年は迫ってきても、快適なクルージングが可能なスペースを持つセーリングヨットが大型であり、運航に多くのクルーと費用が必要である問題は出口の無い問題に思いえた。 
この彼がBob BeebeのPassageMaker でクルージングする機会を得て「これだ!」とCBSに早期退職を申し出て準備を開始した。
しかし、当時、この新しいコンセプトに適した艇を求めてアメリカばかりかヨーロッパまで捜し求めたが適当なものが適当な値段では見つからなかった。
カリフォルニアでGlassDock工法という簡易なFRP船建造工法を開発した会社が見つかり、その造船所でスペースと助言を得る契約をしてBobBeebeに設計を依頼した。
設計の力点は長期航海に適した広い船内スペースであった。1969年クリスマスに設計が完成し、1970年1月、設計者自ら原寸線図を書き上げたところでその造船所は倒産してしまった!!
それから別の造船所を探し、1972年11月の完成までの2年間、天才やヒッピーのアルバイトとともに艇を自作した。
Mona Mona
主要寸法
全長 50’0”
水線長 47’6”
全幅 16’0”
喫水 5’0”
排水量 33トン

MonaMona 外観側面図
大きな特徴は総二階立てとなっていることです。内装図を見るとわかるようにスペースの広さはアパート並みです。
安定性の問題から船の幅を広くしてありますが、実際にはやや復原力オーバーだったようです。
それでも設計者はオーナーに、北大西洋とホーン岬には近寄らないことを約束させました。
Mona Mona の内装図 (上甲板)
リビングルーム、キッチン、ブリッジがあります
MonaMona の航海
500マイルの(何の出来事も起きなかった)試験航海の後、1973年4月30日、夢に見た長期クルージングに出発した。下の航海記録図のように、クルージングは合計12年にわたった。1974年から1983年の間、地中海のありとあらゆる港、入江を「チェック」した。この間、奥さん(Monaさん)と友人と一緒にクルージングを楽しんだ。
成功の秘訣はずっと続けてクルージングするのではなく、一年の半分を船で過ごし、残り半分を自宅で普通の生活をすることによりバランスの取れた生活が送れたことだった。
船で暮らす半年間は自宅を賃貸に出した。
それにしても、計画を決心し会社を早期退職したとき60過ぎだったBobSuttonは準備に2年、建造に2年、クルージングに12年、合計で16年、 早期退職が60歳としても76歳までクルージングを楽しんだことになる。うらやましいの一言に尽きる、
Mona Mona の内装図 (下甲板)
3部屋に区画された居室があります
船尾は機関室。