Passage Makerの話

Passage Maker は外洋を横断するモーターボートのことです。
Bob Beebeというアメリカ海軍を退役した人が研究した結果を自分の50フィートボートで
実証したものです。
彼の著書「Voyaging Under Power 」は外洋航海を目指すボートマンのバイブルとなっています。

Voyaging Under Power
ISBN 0-07-158019-0
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新刊(第4版)が出ています。
1909年軍人の家に生まれたRobert Beebe は小さいときから海に親しんでいた。 MITで航空工学に行くかアナポリスで海軍大学に行くかの選択でアナポリスを選択したが、アナポリスで航空工学を学び、卒業後、飛行機のパイロットになった。
アナポリス兵学校のヨット部からはじめずっとヨットに乗っていたが、同時にヨットで生活し、かつ快適な広さで長期にクルージングできるデザインを研究していた。
太平洋戦争中は空母サラトガの航海士として勤務した。航海士の仕事は天測が終われば比較的時間があり、更新された古い海図の裏にドリームボートの設計を続けることができた。
戦争が終わり退役したBeebeはそれまでの研究をまとめあげた50フィートクルーザー「Passage Maker」の設計を完成し、1962年7月シンガポールの造船所で建造が始まった
Passage Maker
主要寸法
全長 50’0”
水線長 46’6”
全幅 15’0”
喫水 5’4”
排水量 27トン
Passag Maker の 「帆装図」
エンジンで走ることを目的としているがそれまで外洋をモーターボートで走るという例がほとんど無かったのでバックアップとしてケッチリグを持っていた

本の後半での著者のコメント
「バックアップが欲しいならエンジンとプロペラをもう一組積むほうがまったく合理的。コストも帆装置一式に比べれば全然有利」

Passag Maker の内装図
長期間の航海を快適性とプライバシーを両方可能とした内装配置だが、ヨットの内装のイメージも残っている。
別ページの「MonaMona」の項目と比較してください。
Passag Maker の処女航海
シンガポールで建造されたPassageMakerは1963年3月18日に出発、21ヶ月の航海の末、カリフォルニアに到着した。
この間、1963年の夏に地中海をクルージングし、1964年の春、もうひとつの設計目的であったフランスの運河旅行の可能性を実証した後、ドイツ、イギリス、アメリカ東海岸、カリブ海、パナマ運河をとおりモンテレーの母港に到着した。